水に映る月
慧と並んで、マンションの周辺をゆっくり歩いた。
秋の夜風が肌に心地いい。
「ねぇ、ケイちゃん。手、繋ぎたいな。」
あたしは立ち止まり、慧を見つめた。
振り向いた彼は小さく頷いて、左手を差し出してくれた。
慧の指に自分の指を絡めて、シアワセなキモチになる。
あたし達は、また夜の歩道を歩いた。
少し進むと、小さな公園があった。
慧とあたしは、その公園の中に入った。
そして、外灯の下の古びた木のベンチに並んで腰掛けた。