水に映る月
 

そのトラックは、慧専用に使っているものみたいで、彼の部屋や車の中と同じ、綺麗に整頓されていた。


運転席の大きなハンドルに、手を伸ばして触れてみる。

ふと顔を上げ、運転席側に斜めに向いたルームミラーを見上げた。


「うそ‥。」


思わず、声に出して呟いていた。

ミラーの端っこに貼られたプリを、ジッと見つめて‥。


それは、慧とあたしが手を繋いで撮ったショットで‥。

あたしが待ち受けにしている画像と同じだった。


あの時、ハーバーランドのプリ機コーナーに設置されてるハサミで半分こしたんだ。



─ やっぱり‥

  ケイちゃんもあたしのこと‥



くすぐったいキモチが胸に押し寄せて来た。


 
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