水に映る月
 

荷物を積み終わった慧は、運転席のドアを開けた。


「ごめんな。ヒマやろ?」


「ううん、なんか楽しい♪」


あたしは慌てて姿勢を正し、彼にそう答えた。

けれど、なんだか気恥ずかしくて、プリのことには触れられなかった。


運転席に座った慧は、トラックのエンジンを掛けた。

そして、大きなハンドルを握り、トラックを走らせた。


「どこまで行くの?」


「神戸方面のコンビニやな。」


運転しながら、仕事中に起こった出来事を楽しそうに話す彼。

相槌を打ちながら、あたしの胸は弾んでいた。


 
< 211 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop