水に映る月
 

深夜、須磨方面に向かう途中、慧は路肩にトラックを停め


「純ちゃん、海、見よっか。」


って、言った。


「え?見れるの?」


「すぐ、そこやからな。」


そう答えると、彼は、夜の海に連れて行ってくれた。


自販機で買って貰ったホットココアを手に砂浜に立ち、他愛ない会話をしながら、夜の海を眺める。


波の音が優しい。

月明かりが水面を、キラキラと輝かせていた。


夜風は冷たかったけど‥。

慧の傍に居られるだけで、暖かいキモチになれた。


「あと三件で終わりや。行こか。」


「うん♪」



真っ暗だった空が仄かに明るみを帯びた頃、その日の最後の荷物を、彼はコンビニに運んだ。


 
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