水に映る月
 

眠気はあったけど、あたしは、ずっと起きていた。

慧の傍に居られることが、何よりも嬉しい。


トラックの窓から、慧の姿を見つめる。

荷物を運び終わった彼は、レジに向かい、そこで女の子の店員にチェックシートを差し出した。


さっきから何度も見ている光景。

ただ、その後は違った。


チェックを終わらせた慧は、その店員と楽しげに話し出した。


途端、胸がギュッと絞り込まれるような感覚を覚えた。


あたしは助手席のドアを開け、トラックから降りて、コンビニへと向かった。

そして、勢い良くガラス扉を押し開けた。


 
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