水に映る月
「いらっしゃいませ。」
入り口の手前に、もう一つあるレジから、男の店員が機械的な声を出した。
あたしは、その店員の前を通って、奥にいる慧の傍へと歩いた。
「ケイちゃん、またおなか空いた♪」
ほんの数時間前、コンビニで買ったアンマンを食べていたけど、あたしは彼にそう言った。
レジの女の子も慧も、ビックリした顔であたしを見た。
だけど、慧は
「そうやな、なんか食うか?会社まで我慢出来そうやったら、帰りに美味い店に連れてったるけどな。」
って、優しい笑顔で答えてくれた。
「うん、我慢する♪」
あたしは彼に頷いて、女の子の店員にニッコリ笑顔で会釈した。