水に映る月
 

「ね、ケイちゃん。コンビニの女の子に告白されたことある?」


早朝の食堂には仕事着のお客が多くて、あたしのような女の子の姿は無かった。


お味噌汁に口を付けていた慧は、お椀を置き、お茶碗を手にした。


そして


「純ちゃん、この店、美味いやろ?」


って、訊いた。


「うん、おいしィ♪ね、コクられたことあるん?」


話をはぐらかされたくなくて、あたしは、また同じ質問をした。


「どうかな?忘れた。」


慧は、悪戯な笑みで答えた。


「もぉ!ケイちゃんの意地悪!」


あたしがスネると


「純ちゃんのアヒル口、可愛いな。」


慧は、楽しそうに笑った。


 
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