水に映る月
道順をメモった紙を片手に、マンションを探した。
迷うこと無く、それは見つかった。
マンションの敷地内に入り、駐車場を通って建物の入口を目指す。
どこからか、小さな男の子が飛び出して来た。
「ソラ!待ちなさいって!駐車場は危ないからダメ!」
母親らしき人が、敷地内の小さな公園から駆け寄って来た。
ストレートロングの茶色い髪、黒のパーカーワンピにフリンジブーツが、よく似合ってる。
見た目、あたしと同じ歳くらいに見えたけど、フウカさんと同年齢だってことを思い出した。
その女の人は、男の子を腕に抱き上げ、こちらを振り向いた。
「もしかして、ケイの‥?」
「はい。」
「そろそろかなって、そこで遊ばせながら待っててん。上がろっか♪」
ユーナさんはニッコリ笑うと、エントランスに向け歩き出した。