水に映る月
「距離って‥?」
言ってる意味が解らなかった。
「ちょっと離れよか‥って。」
答えると、彼は立ち上がり、出掛ける準備を始めた。
「ケイちゃん‥、どこ行くの?」
「暫く、ヨシトとこ戻るわ。」
「なんで?イヤや‥。」
慧は、クローゼットの中から、替えの作業着を二着取り出した。
そして、サイドボードの上で充電していたケータイを手に取り、羽織ったダウンジャケットのポケットに突っ込んだ。
「ケイちゃん‥。」