水に映る月
 

ソファから立ち上がったあたしを、慧は見つめた。


あたしは、その場所から動けないままで‥。

慧は、哀しい笑みを見せ


「純ちゃんがアイツから聞いたこと、全部ほんまや‥。」


って、言った。


「だから、オレのことは忘れてや‥。」


って‥。


そして、踵を返し、玄関に向かった。



─ 待って‥


  忘れてって、なに?


 
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