水に映る月
縮まらない距離は、まるで、夜空の月を追い掛けているみたいで‥。
確かに見えているのに、この手に触れることは出来ない。
切なくて、苦しくて‥。
放心状態。
なんにもする気が起きなかった。
バスタオルを体に巻いたまま、ベッドの上に突っ伏した。
慧の香りを感じて、また涙が溢れる。
視線の先に、派手にデコったケータイが転がっている。
あたしはベッドから手を伸ばし、それを拾い上げた。
─ きっと、出てくれない‥
でも‥
あたしは、ケータイを開いた。