水に映る月
コンビニでパンとジュースを買って、アパートに戻った。
食欲なんて、殆ど無い。
結局、少しかじっただけで食べるのをヤメた。
「サトル、お客さんの女の子に口説かれるやろ?」
ベッドに寝転んでケータイを弄るサトルに、声を掛ける。
「そりゃ、オレ、イケメンやもん♪」
誰かとメールしているのか画面から目を離さず、サトルは答えた。
「なんで付き合わへんの?」
「えっ?!そーゆこと訊く?純ちゃんのこと、すきやからに決まってるやん♪」
パチンとケータイを閉じた彼は、あたしに向け、ニッて笑い掛けた。