水に映る月
∮10 待ってる
 

この部屋で待っていれば、いつかは慧に会える。

そう信じて、あたしは待ち続けた。


慧が、いつ帰って来ても落ち着けるように、毎日、掃除をして‥。

お布団を干すことはしたけど、シーツは洗えなかった。


洗ってしまうと、慧の香りが消えてしまいそうで‥。

それがイヤだった。



枕を抱きしめて眠る。

時々、慧の夢を見て、泣きながら目覚めた。


一週間が経ち、二週間が経った。


だけど、彼は帰って来なかった。


 
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