水に映る月
鳴らないケータイを、日に何度も見つめていた。
返事を待ってしまうから、あの日以来、メールを送っていない。
きっと、帰って来てくれる‥
ケイちゃんだって、あたしのこと、すきなはず‥
─ 一緒に外国行こか ─
あの時‥。
ハーバーランドから夜の海を眺めて、慧は、そう言った。
何にも知らないあたしは「イヤ」だと答えたけど‥。
海外に逃げれば、日本の警察は追って来れないからかな‥
慧と一緒なら、地の果てまでも行けるのに‥
12月になって、街の至るところがX'mas仕様に飾られても、慧は帰って来なかった。