水に映る月
ムカついたって、しょうがない。
サトルが誰と付き合おうが、彼の自由だし。
「バイ♪」
作り笑顔でそう言って、あたしは踵を返した。
結局、どこにも行く場所なんて無い。
あたしは、また一人ぼっちになった。
ケータイの電話帳にストックしていた男の子達の連絡先は、慧と住むようになって、全部削除している。
家だって、タケルくんのアパートくらいしか場所を覚えていない。
だけど、行く気にならなかった。