水に映る月
クリスマスイヴの前日。
その日は、朝からバイトだった。
ファッションビルの中は、一日中クリスマスソングが流れている。
心持ち、カップルの姿が目立つように感じた。
あたしは店頭のマネキンに、服をディスプレイしていた。
ケイちゃんなら、きっと、こんな着こなしをするはず‥
彼の姿を思い出しながら、マネキンにデニムパンツを履かせ、シックなVネックカットソーを合わせて、ファーブルゾンを着せた。
ショップの前の通路から、それをチェックしていた時
「純じゃない?」
背後から、誰かに呼び掛けられた。