水に映る月
 

「派手になったね。」


ちょっぴり動揺しながら、あたしは静江に微笑んだ。


あたしも、見た目は地味な方じゃない。

どう見たって、派手な女の子の部類。


けれど、中学生の頃の静江は、その存在すら忘れてしまうくらい、大人しくて目立たない子だった。


ボブと言うよりはオカッパってカンジで、前髪なんか常に“on the眉毛”で‥。

静江の友達も、似たようなタイプの子達ばかり。


影の薄い子で、あたしは、静江と話した記憶も無かった。


 
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