水に映る月
 

同じクラスだったと言う以外、あたしと静江に接点は無い。

気安く声を掛けられたことに、ちょっぴり不快感を覚えた。


ただ、避けるのも悪い気がして


「買い物?」


って、訊いた。


静江は、嬉しそうに笑った。

そして


「そーやねん♪オトコにプレゼント選びに来てん。」


と、答えた。


「そっか。」


他に会話も思い付かないし、それに今はバイト中。


「じゃね。」


小さくバイバイと手を振って、仕事に戻ろうとした時、静江は呼び止めた。


「純!」


 
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