水に映る月
 

「え?」


思わず、聞き返していた。

聞き間違えたんじゃないかと思った。


「オトコやん。ワタシ、カレシ何人もいてるねん。めっちゃ遊んでるから。だから、一人くらいやったら廻したげるで♪」


静江はそう言うと、優越感たっぷりの笑顔を見せた。


ふと、慧の言葉を思い出した。



─ 悪自慢なんかは、ヘタレがすることや‥ ─



悪自慢が悪いことだと思わないけど、カッコイくもない。

ましてや、あたしは静江の過去の姿を知ってるんだし。


「自分で見つけるからイイ。ありがと♪」


その言葉を彼女に投げて、あたしは仕事に戻った。


 
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