水に映る月
 

ホントに泣くのは、慧に会えた時。

あたしは、そう決めていた。


だから、溢れ出しそうな涙を必死で堪えた。



テレビの前に座り込み、コントローラーを持つ。

少しゲームを進めると、主人公の名前を決める画面になった。


迷わず《Kei》と入力する。


主人公の男の子に、慧の姿をダブらせて‥。

あたしは意識的に、そのゲームに没頭した。


 
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