水に映る月
∮11 悪魔の告白
「ケイちゃん‥。」
あたしは小走りで駆け寄った。
「メール、返さんくてごめんな。」
慧は、あたしを見つめて微笑んだ。
濡れた髪から、雫がポタポタ床に落ちる。
「ケイちゃん、濡れてる‥。」
「雨、降ってるからな。」
抱きつきたい衝動に駆られる胸を抑えて、あたしはクローゼットへと急ぎ、中からタオルを取り出した。
そして、部屋に入って来た慧に手渡した。
「お風呂、入る?あたし、すぐ用意する。」
「ん‥、ありがと。」
雨に濡れたダウンを脱ぎ、それをハンガーに掛けて、慧は、ベッド下の階段に座った。