水に映る月
絶対、泣いてしまうと思っていた。
もし、慧が帰って来たら、顔を見た瞬間に泣いてしまうって‥。
だけど、彼を安心させたかったのかな‥。
零れたのは涙じゃ無く、笑みだった。
慧と、また逢えた嬉しさに、ココロが弾んだ。
あたしもホッとしたんだ。
急いでバスタブを洗って蛇口を捻り、お湯を出した。
そして、部屋に戻るとソファに腰掛けた。
「お風呂、すぐに溜まるから♪」
あたしは、彼にニッコリ微笑んで見せた。