水に映る月
 

あたしは顔を上げた。

だけど、なんだか気恥ずかしくて、彼と目を合わせることが出来なかった。


慧の顔が近付いて来る。

あたしは、ギュッと目を閉じた。


kissだと思った。


けれど、慧は以前のように、あたしのオデコに彼のオデコをくっつけた。


慧の前髪の尖端が、瞼に当たってくすぐったい。

あたしは肩をすくめて、ジッとしていた。


お酒を飲んで来たのかな‥。


アルコールの匂いを感じた。


 
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