水に映る月
「言い訳なんか、どうにでもなったからな‥。相手はオレに惚れてるし、そこを利用してたな。サイテーや‥。」
慧には、女の子を惹き付ける魅力がある。
虜にさせる力がある。
彼は、その魅力を悪魔に捧げ、魔力に変えた。
戦うことをせず、楽な道へと逃げた。
いつかは、その行いが彼自身を滅ぼすことになると、気付いていたはずなのに‥。
「感覚、麻痺してたな。オンナなんかチョロい‥。段々、そう思うようになってた。ほんまに、あほや‥。」
作り話なら、どんなに楽かしれない。
頷くことすら出来ず、あたしは、泣きながら彼の話に耳を傾けていた。