水に映る月
「ずっとツラかったな‥。すぐ横で眠ってるのに、我慢せなあかんってな‥。何回も理性抑えられんようになりかけたな‥。」
蕁麻疹のお薬を塗ってくれた時も、バスタオル一枚を身に纏ったあたしを見た時も‥。
「我慢するの必死やった。純ちゃんが誘って来てるの分かってたし、それが可愛かったから、余計にな‥。」
だけど、kissだけは我慢出来なかったって‥。
夜の公園で、あたしが慧にkissした時‥。
それがfirst-kissだと知って、我慢出来なくなったって‥。
慧は、そう言うと、自嘲するようにフッと笑った。
「オレが捕まるんが先か、純ちゃんが自立するんが先か‥。そればっか気になってた。純ちゃんをオレのものにしたい。そう思っては、あかんって自分に言い聞かせて‥。ほんま、苦しかったな。」
あたしが慧に、本気で恋をしたように‥
慧も、あたしに恋をしていた‥
そのことを知って、また涙が溢れた。