水に映る月
∮13 不安
 

アメリカ村の三角公園の前で、待ち合わせた。

eveからX'masに変わる深夜0時に‥。



─ 一緒に逃げよ‥ ─



そう言ったあたしに、慧は頷いてくれた。



荷物の入った大きなバッグは、駅のコインロッカーの中。

夏には短かった髪も、今では肩に触れるくらいに伸びてる。


ラビットファーの帽子に、胸元が大きく開いたホルターネックのフリルワンピは、どちらも茶系。

インナーに、ピンクのキャミをアクセントに入れて‥。


ボアのフードが付いたベージュのコートは、厚手で暖かい。

同系色のファーをあしらったロングブーツを履いて‥。


きっと、これからは、お洒落なんて出来ない。

逃亡生活をするんだから‥。



X'mas仕様に飾られた深夜の街。


あたしは、アメリカ村を目指して歩いた。


 
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