水に映る月
∮14 だいすき
「純ちゃん‥、ごめんな‥。」
慧は、後ろから、あたしを抱きしめた。
ふわっと暖かい温もりが一瞬にして、あたしを包んだ。
「ケイちゃん‥。」
ホッとしたんだと思う。
涙がイッパイ零れて来た。
慧は、あたしの体をクルンと反転させ、彼に向けた。
「可愛い帽子やな。似合ってるやん。」
そう言って、ファーの帽子を取り、あたしのオデコに彼のオデコをくっつけた。
冷え切った肌に、慧の温もりが心地いい。
胸がキュンと熱くなった。
慧は、オデコをくっつけたまま、涙の止まらないあたしに訊いた。