水に映る月
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大きな犬が牙を剥いて、あたしに近付いて来る。
怖くて怖くて、動けなくなった。
─ 助けて!ケイちゃん!
ココロで強く願った時‥。
犬は、あたしの横を通り過ぎ、どこかに歩き去った。
ホッと安堵の息を吐く。
同時に、霧が晴れて来た。
─ ケイちゃん‥
慧の車を見つけ、あたしは喜びを胸に駆け寄った。
途端、車は急発進して、目の前から遠ざかった。
「ケイちゃん!イヤ!!」
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叫び声と共に、あたしは飛び起きた。