水に映る月
─ でも‥
「純ちゃん、はよ♪」
「あ、シゲくん、はよ。」
─ いるんだな‥
勘違い男‥
店頭のワゴンを整理しているシゲくんの横を通り過ぎ、営業中の店に入った。
「おはよぉございま~す♪」
「あ、おはよう。純ちゃん。」
正社員の中井さんに挨拶をして、店の奥に向かい、いつものように事務所のドアを開ける。
机で書き物をしている店長にも挨拶をして、あたしは自分のロッカーにバッグを入れ、扉に付いた鏡で全身をチェックした。
そして、軽くメイクを直し、タイムカードを押した後、複雑な心境で売り場へと向かった。