水に映る月
シゲくんは、最後に、リボンの付いた小さな箱をくれようとした。
あたしは、それも断った。
貰ったって使えないし、どう処理すればイイかも分からない。
「ごめんね。」
「俺こそ、ごめん。」
今にも泣き出しそうな彼にバイバイを言って、あたしは、駐車場から逃げるように駆け出した。
道路を渡り切っても、まだ、背中にシゲくんの視線を痛いくらいに感じた。
けれど、振り返ることはしなかった。
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