水に映る月
「分かんない。今日の家、まだ決めてないし。」
ウェイトレスが運んで来たコーンスープをスプーンで掬って、口に運びながら答えた。
「なに?純ちゃんって、ホームレス?」
慧が可笑しそうに訊く。
あたしはスープを飲み込んで、彼に意味深な笑みを見せた。
慧達は、姫島って所に住んでるって言った。
でも、地元は神戸だって。
姫島と聞いてもピンと来なかったから、あたしは曖昧に返事を返した。
あたしの地元は大阪。
生駒山の近く。
「純ちゃん達、18なん?若いな♪」
「んな変わらへんやん♪」
慧達は、あたし達より六つ上。
24歳だって言った。
だけど、ハタチくらいに見えた。