水に映る月
 

「先輩って‥?どーゆ意味?」


驚いたあたしは、顔を上げて彼を見た。


慧は、前を向いたまま


「純ちゃん、なんでもするって言わんかったっけ?」


と、冷たい口調で訊いた。


「え?でも‥。」


「イヤやったらいいねん。駅まで送るだけや。」



断ったら、慧に会えなくなる?


あたしがその人の相手をしたら、慧はカノジョにしてくれる?



悩んで、悩んで‥。


「あたし‥、ケイちゃんの言う通りにする‥。」


結論を声にした時、また涙が零れた。


 
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