水に映る月
 

不意に、パチンとケータイを閉じる音が響いた。

あたしは、慧の手元に視線を遣った。


だけど、溢れる涙でよく見えなかった。


「あほやな、純ちゃん。無理すンなよ‥。」


慧は、さっきとは違う優しい声でそう言うと、エンジンを掛け車を出した。


あたしは、何が何だかワケが分からず


「ジョーダンやったん‥?」


涙で震える声で、彼に訊いた。


 
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