水に映る月
 

約束していたけど‥。

高校二年生の夏、祖母は寝たきりになって、入院生活を送るようになった。


週に何度かお見舞いに行っては、祖母の入れ歯を洗ったり、爪を切ってあげたり、話し相手になったりした。


何度も危ない峠を越えて、心配したり安堵したり‥。


そして、高二の冬。

祖母は、帰らぬ人となった。


───
 ────


もし、今もまだ、祖母が元気で生きていたら、きっと、ジプシー生活なんてしていなかった。

大好きなおばあちゃんと、一緒に暮らしていた。



レジで精算を済ませ、スーパーの袋いっぱいに商品を詰めて、西陽が射す歩道を、あたしは帰路についた。


 
< 91 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop