水に映る月
マンション一階にあるオートロックの自動ドアは、パネルの鍵穴に鍵を差せば開く。
堂々と、中に入れることが嬉しかった。
部屋に帰ると、慧は仕事に行った後だった。
分かっていたけど、ちょっぴり寂しさを感じたり‥。
バッグをソファに置いて、キッチンに戻り冷蔵庫を開けた。
買って来た食材を中に並べて、ジュースで喉を潤した。
使いにくそうなスタンド式の掃除機が、キッチンの隅に立て掛けてあることは、気付いていたから
「お掃除しよぉ♪」
ベランダのガラス戸を開け、あたしは部屋の掃除を始めた。