遠吠えクラブ
聡と羽純の夫だった英毅は、同じ会社で途中入社同士だったせいか、親友といっていいほど仲がよかった。聡と美夏の間がぐっと近くなったのは、思えば羽純の離婚騒動を心配した美夏が、羽純の結婚式で知り合った聡を頼っていろいろと相談にのってもらっていた時だった。
結婚式場のテーブルで隣あわせに座った時の第一印象は、正直言って
「ぱっとしない人だなあ・・・」
という軽い落胆だったが、しかしだからこそ、彼が遠慮がちに話しかけて来ても、特に警戒も緊張もしなかったといえる。かわしたのは他愛ないわずかな会話だったが、なぜかそれがやけに楽しく、聡の隣にいることが不思議なほどしっくりなじんだ。
そう、年の近い親戚の男の子と久し振りに再会したような、なぜか懐かしいような居心地のよさ。
彼が以前いた会社が輸入キッチンツールを扱っていたことから、仕事がらみで便宜をはかってもらい、そのお礼に美夏が食事に誘い・・・、というようにごく自然に二人の仲は接近していった。控えめでいつも穏やかに微笑んでいる聡は、女子高、女子大、クッキングスクールと女だけの環境しか知らない美夏にとって、初めてできた話しやすく気兼ねのいらない、異性の友人だった。
結婚式場のテーブルで隣あわせに座った時の第一印象は、正直言って
「ぱっとしない人だなあ・・・」
という軽い落胆だったが、しかしだからこそ、彼が遠慮がちに話しかけて来ても、特に警戒も緊張もしなかったといえる。かわしたのは他愛ないわずかな会話だったが、なぜかそれがやけに楽しく、聡の隣にいることが不思議なほどしっくりなじんだ。
そう、年の近い親戚の男の子と久し振りに再会したような、なぜか懐かしいような居心地のよさ。
彼が以前いた会社が輸入キッチンツールを扱っていたことから、仕事がらみで便宜をはかってもらい、そのお礼に美夏が食事に誘い・・・、というようにごく自然に二人の仲は接近していった。控えめでいつも穏やかに微笑んでいる聡は、女子高、女子大、クッキングスクールと女だけの環境しか知らない美夏にとって、初めてできた話しやすく気兼ねのいらない、異性の友人だった。