遠吠えクラブ
　久々の「遠吠えクラブ例会」だから、千紘の大好物のバーニャ・カウダを作ろうと思って、戸棚の器具を取り出そうとした。

　千紘はこれさえ出しておけば、ご機嫌でエンドレスでワインを飲んでいる。その時、女性の字で書かれたあのメモが、壁のすき間に落ちていたのを見つけてしまった。

　最初は、その意味がよくわからなかった。何度か読み直して、ふとそのメモが意味することに気がついてぎょっとした。それは、美夏が知らされていない事実だった。

　そのことと奥さんの死に関係があるとすると、二人の死はまるで意味が違ってくる可能性がありはしないか。

　最初、あまりに突飛な想像なので、本気では考えていなかった。でもそのことを考えると、さまざまなピースがぴたりと合うことにだんだん思い当たっていった。
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表紙・目次

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