遠吠えクラブ
それにしても、仕事で死ぬほど疲れても、台所に立つと疲れがとれるというほど料理好きな美夏の夫が、じつはきわめつけの味音痴だったとは、なんて皮肉なんだろう。
結婚するまで、猫をかぶっていたのだろうか。
猫をかぶっているのが、料理の好みくらいだったら笑い話で済むんだけど…。
羽純がきつい口調で言った、前の奥さんの死に対する疑惑を思い出して、千紘はまた少し不安な気持ちになった。
羽純の結婚式で、新郎の同僚として紹介された時の聡の印象が、千紘の記憶にはまったく残っていない。それほど印象が薄い男だったのだろう。
二度目に会ったのは、撮影に必要なマニアックなキッチングッズを借りに、美夏の家に立ち寄った時だった。ついでにご飯でも、ということになり、まだいっしょに住み始めたばかりだった聡を紹介された。
似顔絵に描きにくい顔だなあ、というのが第一印象だった。玄関を出たら忘れてしまいそうな、どこにでもいるような平凡な顔立ち。
ニコニコして美夏と千紘の話を聞いている、仏像のように穏やかなスマイルが癒し系で可愛いといえなくもないけど・・・。
結婚するまで、猫をかぶっていたのだろうか。
猫をかぶっているのが、料理の好みくらいだったら笑い話で済むんだけど…。
羽純がきつい口調で言った、前の奥さんの死に対する疑惑を思い出して、千紘はまた少し不安な気持ちになった。
羽純の結婚式で、新郎の同僚として紹介された時の聡の印象が、千紘の記憶にはまったく残っていない。それほど印象が薄い男だったのだろう。
二度目に会ったのは、撮影に必要なマニアックなキッチングッズを借りに、美夏の家に立ち寄った時だった。ついでにご飯でも、ということになり、まだいっしょに住み始めたばかりだった聡を紹介された。
似顔絵に描きにくい顔だなあ、というのが第一印象だった。玄関を出たら忘れてしまいそうな、どこにでもいるような平凡な顔立ち。
ニコニコして美夏と千紘の話を聞いている、仏像のように穏やかなスマイルが癒し系で可愛いといえなくもないけど・・・。