遠吠えクラブ
【第3章】 羽純(シングルマザー)
そう、緻密な計算に基づいた美夏の料理と違い、千紘の料理はすべて行き当たりばったりというか、適当なのである。
でも今、羽純が作ることができる数少ない料理は、ほとんどが千紘に教えてもらったレシピだ。
ニンニク味噌の話を聞いたのはまだ結婚してすぐで、思えば羽純の人生でただ一度の料理修行期だった。
ほんとにびっくりするくらい何もできなかった羽純は、一日中、晩御飯のことばかり考えていた。
にもかかわらず、だいたいどの日も夕食直前になっても何を作っていいかまるでわからず、毎日、夕方になると本当に胸が苦しくなったものだった。
ましてや英毅は好き嫌いが激しく、豆腐は冷奴はダメだけど味噌汁の具なら好きとか、鶏肉の皮は嫌いだが唐揚げだけは皮がないと許せないとか、そのたぐいの勝手なマイルールが無限にある男だった。
でも今、羽純が作ることができる数少ない料理は、ほとんどが千紘に教えてもらったレシピだ。
ニンニク味噌の話を聞いたのはまだ結婚してすぐで、思えば羽純の人生でただ一度の料理修行期だった。
ほんとにびっくりするくらい何もできなかった羽純は、一日中、晩御飯のことばかり考えていた。
にもかかわらず、だいたいどの日も夕食直前になっても何を作っていいかまるでわからず、毎日、夕方になると本当に胸が苦しくなったものだった。
ましてや英毅は好き嫌いが激しく、豆腐は冷奴はダメだけど味噌汁の具なら好きとか、鶏肉の皮は嫌いだが唐揚げだけは皮がないと許せないとか、そのたぐいの勝手なマイルールが無限にある男だった。