遠吠えクラブ
その名前をつけたのは、雑誌編集者の千紘だったような気がする。
そう、確か皆の中で一番誕生日が早く、三十歳に一番乗りした千紘の誕生日を祝って恵比寿のバルで食事をしていた時だった。
大の食いしんぼで、学生時代から趣味の食べ歩きでいつもつるんでいた三人。良妻賢母教育で有名な女子大だったせいか、晩婚化時代とは思えないほど同級生たちの結婚は早かった。もともと気が合っていたこともあるが、家庭を持たず気軽に呼び出しあえるのは、気がつくといつのまにかこのメンバーだけになっていたのも事実だった。
卒業と同時に小さな編プロに入社し、信じられないほど安い給料で毎晩、終電までこき使われていた千紘は、近頃やっと担当していた化粧品PR誌のチーフになり張り切っていた。さっきからずっと熱にうかされたように一人でしゃべっていて、止まらない。
それにしても、こんなにぺらぺら休みなく喋りながら、皿の上の料理が誰よりも早くなくなるのはいったいどんな魔法なんだろうと、美夏はいつも不思議に思っていた。
そう、確か皆の中で一番誕生日が早く、三十歳に一番乗りした千紘の誕生日を祝って恵比寿のバルで食事をしていた時だった。
大の食いしんぼで、学生時代から趣味の食べ歩きでいつもつるんでいた三人。良妻賢母教育で有名な女子大だったせいか、晩婚化時代とは思えないほど同級生たちの結婚は早かった。もともと気が合っていたこともあるが、家庭を持たず気軽に呼び出しあえるのは、気がつくといつのまにかこのメンバーだけになっていたのも事実だった。
卒業と同時に小さな編プロに入社し、信じられないほど安い給料で毎晩、終電までこき使われていた千紘は、近頃やっと担当していた化粧品PR誌のチーフになり張り切っていた。さっきからずっと熱にうかされたように一人でしゃべっていて、止まらない。
それにしても、こんなにぺらぺら休みなく喋りながら、皿の上の料理が誰よりも早くなくなるのはいったいどんな魔法なんだろうと、美夏はいつも不思議に思っていた。