遠吠えクラブ
 逃げようとする聡がある瞬間から諦めの表情を浮かべ、暗い瞳で自分をまっすぐに見つめた時、羽純の体を深く激しい歓びが貫き、初めて自分が、しっかりと満たされた思いがしたのだ。

いつも逃げようとする聡を引きとめ、誘惑し、すがっていたのは羽純であり、そうした女たちのほうだった。

 美夏は自分やその種の女たちとはまるで違っていた。
 だから絶対にふたりが結びつくことはないと思い、結婚式で隣のテーブルにしたのに。
         
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