遠吠えクラブ
「…やっぱり、そんなのありえないよ。ただの偶然だって。聡さんに確かめてみるべきじゃない?」

「何を? どうやって?」

「そりゃ…、奥さんが亡くなった時の詳しい状況とかさ」

「だって、警察だって不審に思わなかったし、聡さんだって何も疑ってないんだよ!? 今朝だっていつもと同じように」

 ドアが開き聡が、見事な薔薇の花束を持ってダイニングに入ってきたので、二人はすばやく話を変えた。

「私も少し手伝おうか?」

「そうだね、最後に例のお茶漬けにするから、羽純が持ってきた味噌からニンニク取り出して、刻んでくれる? あ、聡さん、何だったの?」

「君にだよ。変な名前。「甘栗パンチ」って、ロックバンドか何かの名前?」
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