遠吠えクラブ
 美夏が目を輝かせて花束を手に取った。

「やだ、ほら、私のブログの読者の人よ。
こないだ、ランチ会にお招きして、あなたにも紹介したじゃない。あのショートヘアで、モデルみたいにすらりとした人。本人とハンドルネーム、全然合ってないよね」
 
 リビングに戻りかけた聡が、ぎくりとした顔で振り返った。

「すごいねー美夏。もう人気ブロガーじゃん。そうだ、私が企画書作ってあげるから、出版社に売り込んでみなよ」

 千紘が庭のほうと聡の表情をちらちら見比べながら、気楽さを装った口調で言った。
 美夏も庭に目をやりながら、添えられたカードを手にとって会話を続ける。
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