遠吠えクラブ

「うわーー。自宅の庭の薔薇がきれいに咲きましたので、パーティのお役に立てば幸いです、だって。
ちょっと、薔薇園があるってどんな豪邸だろ」

「住所、松涛だもんね。今日のこと、ブログで予告したの?」

「うん、おとといのブログで。こういうメニューにしようと思ってます、とか。すごい大輪の薔薇だよ、うれしい」

「お花はうれしいよね、すごい気がきく人だねえ」

「それがすごい偶然で、聡さんが前に勤めていた会社にいた人なんだって。大きい会社だから、いた時はお互いに面識なかったらしいけど。ね? 聡さん」

 美夏は聡に微笑みかけた。
 なぜ、目をそらすのだろう。
 いつの間にか羽純までキッチンに来て、怯えた目で花束を見ている。
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