遠吠えクラブ
…なんだろう、あの低いうなり声。
レオのはずがない。
レオは聡さんがちゃんとつないでおいてくれているはず…。
だから大丈夫。絶対に大丈夫。
ふいに目の前が真っ暗になって、美夏は気を失いそうになった。
その時、なにか大きくて温かいものが自分の上にのしかかって、息ができなくなくなった。
その瞬間、むりやり目をあけた美夏のわずかな視界に、黒く濡れた大きな瞳が飛び込んできた。憎しみと悲しみに濡れた、大きな瞳。
湿った激しい息。
ずっしりと重みのある、大きな温かい生き物が自分の上にのしかかって
首筋の動脈のあたりに息を吹きかけていることを、美夏は知った。