空色のじかん

「吉岡さん、紗乃って言うんだね。
俺の名字と読みが一緒だ(笑)」

そう言って屈託無い笑顔で見つめてくる。


その笑顔に少し頬が緩む。

「あ、そうだね。ほんとだ」


少し笑って話せた。

相変わらず顔は見れないままだけど
ちょっと緊張がほぐれたかも。




佐野くんは見た目が軽く見える。

会話する前の第一印象も
正直私が苦手とするタイプだった。


伸ばした髪をワックスで固めて
シャツのボタンを外し、
空いた胸元にはシルバーのネックレスが光っている。

まるで一見すると上級生のようだ。

< 6 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop