空色のじかん
「吉岡さん、紗乃って言うんだね。
俺の名字と読みが一緒だ(笑)」
そう言って屈託無い笑顔で見つめてくる。
その笑顔に少し頬が緩む。
「あ、そうだね。ほんとだ」
少し笑って話せた。
相変わらず顔は見れないままだけど
ちょっと緊張がほぐれたかも。
佐野くんは見た目が軽く見える。
会話する前の第一印象も
正直私が苦手とするタイプだった。
伸ばした髪をワックスで固めて
シャツのボタンを外し、
空いた胸元にはシルバーのネックレスが光っている。
まるで一見すると上級生のようだ。