私の心が死んだ時…
「やめろって言ってるの!いい加減にしなさい」



彩は何も映していない瞳で母を見る。



「出て行くことは許さないから・・・本当・・・・子どもなんて産むんじゃなかった」



そう言い捨てると母は鞄を持って彩の部屋から出て行った。




母が彩を追い出さないのは、父が彩を溺愛しているからだ。父と昔一度大喧嘩した時、母は彩に言ったのだ。





「これであんたの味方は誰もいなくなった。もうあんたがいなくなっても誰も探さないし、悲しまない」





勝ち誇ったように微笑んだ母の顔が、彩は今でも忘れられない。




(出て行けと言ったり・・・出て行くなと言ったり・・・・本当・・・めんどくさい)




ベットに倒れるように寝ころび、彩はやっと肩の力が抜けるのを感じた。



大好きだった涼を失った日・・・・彩の心は割れる寸前の所で止まっていた。
< 7 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop