天空のエトランゼ〜刃の向き
「ひ、卑怯な!」

僕は、下唇を噛み締めた。

「卑怯じゃない!」

僕の言葉を、キャロルは否定した。

「これも、作戦よ」

「な、何だって!?」

予想外の答えに、僕は言葉を疑った。

「あたいとザイルは、種族が違う。だから!」

キャロルは剣を鞘におさめると、居合い斬りの体勢に入る。

「互いに、補い合う!」

「!」

僕は、キャロルの殺気を感じ、息を飲んだ。

「終わりだ!」

「死ね!」

勝利を確定し、笑うザイル。ザイルを背にして、走り出すキャロル。

そして、引き金を弾けない僕。

だけど、もう1人…冷静な者がいた。

「モード・チェンジ」

ピアスから声がすると、光が僕を包んだ。

「!!」

鞘から放たれた剣が、虚空を斬った瞬間、キャロルは茫然自失となった。

「うぎゃあ!」

キャロルの後ろで、ザイルの断末魔の叫びがこだましたからだ。

アルテミアの手にした槍が、ザイルを突き刺さっていた。

「終わりは、お前だったな」

突き刺さった部分から、電気が走り、ザイルの全身を包んだ。

「ば、馬鹿な!!」

次の瞬間、ザイルの体は氷細工のように砕け散った。

「そんな馬鹿な!」

キャロルは振り返り、再び剣を振るおうとしたが、電流が彼女の動きを奪った。

「…」

アルテミアは崩れ落ちたキャロルを見下ろすと、静かに歩き出した。

「ポイントゲット」

アルテミアのカードが告げた。

一度零になったアルテミアのカード。

しかし、アルテミアと融合している僕が魔物を倒しても、ポイントは入る。

バスターモードで倒した魔物の分を使い、アルテミアに変わったのだ。

「貴様!」

キャロルは、震える体を怒りで力を込め、何とか立ち上がろうと、剣を地面に突き刺した。

「…」

アルテミアは足を止めた。

しかし、振り返ることはない。

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