天空のエトランゼ〜刃の向き
「フフフ…」

その光景を見て、キャロルは笑った。

「天空の女神!あんたは、強い!だが,あんたにも限界がある」

キャロルの言葉に、反応するように、アルテミアの胸に挟んでいるカードが点滅し、アラームを鳴らした。

ポイント…残り1。

それは、魔法もモード・チェンジも使えないことを意味していた。

「終わりよ」

キャロルは、切っ先をアルテミアに向けた。

「あんたは、あたいの大切な人を傷付けた」

「大切な人?」

アルテミアは、周りを囲む魔物に目もくれずにキャロルだけを睨んだ。

「そう…あたいの彼氏だ」

キャロルがそう叫んだ瞬間、再び天井から何かが落下していた。

そして、キャロルの後ろに着地した。

「てめえは!」

アルテミアは、眉を寄せた。

「久しぶりだな。天空の女神」

そいつは、数日前…アルテミアに倒された魔神だった。

女神の一撃を喰らったからか、全身に火傷を負い、氷の鱗はすべてなくなっていた。

「直撃を奇跡的に避けた為、我は生きているが」

魔神は拳を握りしめ、

「この屈辱は忘れん!」

アルテミアを睨み付けた。

「そうだ!あたいの彼氏をよくも!」

キャロルは、突きの体勢に入る。

「魔神が彼氏とはな」

アルテミアはせせら笑った。

「いけないか!誰を好きになっても、あたいの自由だ!それに、ザイルは!あたしの強さも弱さも認めてくれた!何よりも、女で剣士であるあたいの生き方も認めてくれた!」

キャロルは、突きの体勢で突進して来る。

「フン」

アルテミアは鼻を鳴らすと、キャロルを睨んだ。

「それは、てめえの理由だ」

アルテミアが腕を突き上げると、工場の天井を突き破り、2つの回転する物体が飛んで来た。

アルテミアが掴むと、それはトンファーになり、キャロルの剣を受け止めた。

「何!?」

絶句するキャロルの後ろで、ザイルが叫んだ。

「かかれ!」

アルテミアの周りを囲む…数十匹の魔物が一斉に襲いかかって来た。

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