捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
ハルを追い出そうとしたあたし。
でも…
「嫌いにならないで…俺…なんでもするから…おねがい」
今にも泣きそうなハル。ウルウルな目でしかも上目使い…
追い出そうに追い出せなかった…
こうしてハルは「捨て犬」として、我が家に住む事になった。
ハルは、昼間のうちに働いて、自分の使うお金は返すって言うし…
そう思うと、なんだかワクワクしてきたあたし。
最近寂しい思いしてたから、同居人ができただけで、なんか心強い。
それに何か、ハルの事放っておけないし…
ハルの方をチラっと見てみた。
すっかり涙が乾いて、機嫌が良さそうににこにこしてる。
「ハル、買い物……お散歩、行こっか?」
色々買ってこないと。ね?
「行くっ!」
玄関に駆け出したハルを呼び止める。
「待って!!ハル、服着替えて!服!ハル!」
昨日洗って乾かしておいたハルの服と、ちょっと大きいコートを掴んで、スウェットの背中を追いかけた。